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Dennis the Menace わんぱくデニス

アメリカ映画 (1993)

名子役メイソン・ギャンブルが映画初主演・初主演でクリーン・ヒットを放った傑作コメディ。脚本を書き、製作にも携わったジョン・ヒューズは、『ホーム・アローン』(1990)で全世界$476,684,675の興行収入を上げ、その続編『ホーム・アローン2』(1992)でも、$358,994,850の興行収入を上げた。主演のマコーレー・カルキンは一躍スターダムにのし上がったが、実は、その前に4本の映画に出演している。そして、この2本の映画の成功は、彼に不幸な人生を送らせる原因となった。『わんぱくデニス』は、『ホーム・アローン2』の翌年の作品。少年が、1人で家を守るために、言葉は悪いが、ある意味、“狡猾な泥棒虐め” に徹した2本の前作と雰囲気を変えようとしたジョン・ヒューズは、1950~80年代にかけてアメリカの新聞を賑わした同名の漫画シリーズ(ハンク・ケッチャム作)に目を付け、ホーム・アローンのケビンとは、全く違った年齢・性格のデニスを主人公にしたコメディを作り上げた。興行収入は、『ホーム・アローン』に比べれば少ない$117,270,765だったものの、製作費の3倍を超えているので、成功作と言える。『わんぱくデニス』の特徴は、邦題の「わんぱく」という言葉とは裏腹に、デニスがとても無邪気で、ある意味、親切に人助けをしたいという、悪意の全くない性格であること。それにもかかわらず、年齢が映画の設定で5歳と幼いため、全体を見通すことができなく、やることなすことすべてが、悪戯のような結果となってしまうというところに面白さがある。映画の前半3分の2は、お隣の引退したウィルソン(ウォルター・マッソー)とのやりとりで、デニスの子供らしい “うっかり行為” の連続でウィルソンはかなりの心理的ダメージを受ける。映画の後半3分の1以下は、町に侵入した泥棒(クリストファー・ロイド)とのやりとりで、デニスの行動は “善意に溢れている” のに、泥棒はホーム・アローン的な肉体的ダメージを受ける。このAからBへの切り替わりが面白い。それにしても、ホーム・アローンのケビンと、デニスの違いは、ケビンを演じたマコーレー・カルキンのその後の真っ当とは言えない複雑な人生と、デニスを演じたメイソン・ギャンブルの環境問題に取り組む学者をストレート目指す人生の違いを そのまま反映しているようで、不思議な感覚に捉われる。

映画は、早朝、デニスが隣人の引退老人のウィルソンの部屋に行き、“デニスから逃れよう” と眠っているフリをしているウィルソンに 熱があると思い込んだ結果、何が何でもアスピリンを飲ませようとするところから始まる。ウィルソンは、40年前に種を蒔いた珍しい花が初めて咲くことから、今年の “町一番の庭” に選ばれて大喜び。一方、町の外れを走る貨車からは、如何にも悪そうな泥棒が飛び降りる。デニスの次の失敗は、ツリーハウスに塗ろうとしたペンキを床に落とし、それを吸い取った掃除機のスイッチをうっかり切り替え、吸い込んだペンキがウィルソンの夕食に入ってしまったこと。3つ目の失敗は、謝りに行ったウィルソンの部屋で、総入れ歯に触って壊してしまったこと。4つ目の失敗は、ウィルソンの受賞の日の前夜、両親が出張で、泊めてもらいに行った時、お風呂と洗面台で遊んでウィルソンに危害を加える結果となったこと。そして、5つ目の最大の失敗は、受賞の日の夜、うっかりした行為で、祝宴のデザートを台無しにしただけでなく、ウィルソンの書斎に泥棒が入ったことを知らせようとしたことで、40年間待っていた開花の瞬間を見る機会をウィルソンから奪ってしまったこと。そのため、デニスは、ウィルソンから二度と来るなと追い出され、自宅には両親がいないので、自転車で夜の森に入って行き、そこで泥棒と出会う。泥棒はデニスをいい人質だと思って喜ぶが、デニスは、相手が泥棒のような悪い人間だとは思わずに接する。この誤解が、泥棒に何度も肉体的にダメージを与えていく脚本は、実に優れているので、あらすじ紹介では、できる限り台詞を再現することにした。泥棒は、結局、デニスの “好意” の結果、死ぬほどの目に遭い、翌朝、警察に捕らえられてホッとする。デニスに暴言を吐いたウィルソンは、その直後にデニスが失踪してから反省していたが、翌朝、ウィルソンの盗まれた金貨コレクションを持ちかえってくれたデニスを抱きしめる。しかし、その夜の食事会の後の、デニスのうっかりミスで、デニスは、託児所預かりとなる。そして、そこでも問題を起こし…

メイソン・ギャンブル(Mason Gamble)は1986.1.16生まれ。映画の撮影は1992.8.3~1993.1.12の間なので、撮影時6歳。これが映画初出演。2万人以上のオーディションを経て選ばれただけあり、6歳にして、これだけしゃべって、演技ができることに驚嘆させられる。ヤング・アーティスト賞(コメディ映画の主演部門)を受賞。因みに下の2枚の映像は、DVDの特典映像に入っていたもので、原作者のハンク・ケッチャム(当時72歳)がメイソン・ギャンブルに、漫画のデニスとウィルソンを描いた場面(左)と、メイソンの演じるデニスを描いた場面(右)をプレゼントする。漫画のデニスは そばかすだらけの横長の顔の少年(左)。それに対し、メイソンはそばかすの全くない縦長の顔の少年(右)。デニスを描き続けて40年目だけあり、実に巧く描いている。

あらすじ

デニスの隣に住んでいるのは、子供のいない老夫婦。その夫ウィルソンが、朝、ガウン姿で前庭の刈込の上に投げられた新聞を取りに出て来ると、遠くから、多くの空き缶がガラガラと転がる音が聞こえて来る。その音から、デニスの自転車だと察したウィルソンは、急いで玄関から中に退避する(1枚目の写真)。そこからは、ウィルソンと、補助輪の付いたデニムオーバーオールを着て自転車を全力でこぐデニスが交互に映る。ウィルソンは、棚の薬ビンを全部ベッドのサイドテーブルに避難させる。デニスの自転車は、ガラクタが一杯載ったレッドワゴンを牽き、その後ろに紐でつながった空き缶4個が大きな音を立てている〔全体が映らないので、ここでは映像紹介ができない〕。そして、自宅前に着いたデニスは、振り向くと、「ウィルソンさん!」と大声で呼びかける(2枚目の写真)。ウィルソンはガウンを脱いでベッドに入る。ウィルソンの家に勝手に入り込んだデニスは、2階に上がって行くと、ウィルソンの寝室のドアを開ける。ウィルソンは眠っているフリをして、イビキをかいている。デニスは、どんどん中に入って行き、ウィルソンの顔のすぐそばまで行くと、「ウィルソンさん」と、囁くように声をかける。3回呼んでも返事がなく、サイドテーブルに山ほど薬のビンが置いてあるので、デニスは 「かわいそうなおじいちゃんのウィルソンさん、きっとすごい病気なんだ。どうりで起きないだね」と言うと、胸に耳を押し付け、「心臓が、洗濯機みたいな音してる」と驚く〔デニスに何されるか不安で一杯〕。デニスは、ウィルソンの弛んだ顎の下の皮膚をつまみ、「わあ、肌がダブダブになってる」と心配する(3枚目の写真)。小型の懐中電灯をウィルソンの口の中に突っ込み(4枚目の写真)、「ひどい舌。青くて、ブツブツがある」。
  
  
  
  

さらに、額に触り、「あったかい。熱があるんだ。ぼく、知ってるよ。おじさん、アスピリンがいるんだ」。そう言うと、サイドテーブルからアスピリンの入った巨大なビンを取り上げる。デニスがキャップをポンと開けても、新品のため、キャップと錠剤の間に詰め物がしてあり、錠剤が取り出せない。そこで、デニスはビンを逆さまにして振る。すると、中身が全部床に落ちてしまう。デニスは、中から1錠だけ拾い上げる(1枚目の写真)。そして、汚れているかもしれないので息を吹きかけ、デニムオーバーオールで擦る〔外で遊んで来たので、指も服も汚く、かえって汚れると思うが…〕、そして、その錠剤をウィルソンの口に入れようとするが、彼は口を固く閉ざして 何としても入れまいとする。デニスはウィルソンの上に跨り、再度トライするが、今度は、歯で手を噛まれそうになる。そこで、お尻のポケットに常備しているY字型のパチンコを取り出すと、口を開けた時の歯の間に狙いを付ける(2枚目に写真)。アスピリンの錠剤はウィルソンの口の中に高速で撃ち込まれ、ウィルソンは目を剥き(3枚目の写真)、起き上がると、口から吐き出す。それを見たデニスは、ウィルソンの家から逃げ出す。
  
  
  

その頃、デニスの家での 若い夫婦の会話。「パートの仕事を始めたって すぐに慣れるさ。ショッピング・モールの管理の方が、デニスを管理するより楽だからね」。そこに、デニスが、スモールドッグドアから入ってくる(1枚目の写真、矢印)。さっそく、父が、「どこに行ってた?」と訊く。しばらく言い淀んでいたデニスは、「ウィルソンさんち」と言い、「おじさん、病気なんだ。すごく熱があった」。それを聞いた母は、「マーサ〔ウィルソンの奥さん〕に、電話しないと」。父は、いつものデニスの悪戯ぶりから、「おじさんに、迷惑かけなかったろうな?」と確認の質問。「ううん、アスピリンをあげたんだ。でも、ぼく以上に嫌ってたみたい」。母は、心配になって電話をかける。「大丈夫ですか? デニスの話では…」。「大丈夫だと! 君の息子は、わしの喉に、パチンコでアスピリンを撃ち込んだんだぞ!」(2枚目の写真)。「申し訳ありません」。「ちゃんと、言い聞かせとけ!」。怒った母が、デニスに、電話の内容を確かめると、「大きな入れ歯で指をかまれたくなかったもん。痛いんだよ!」と、内容を肯定する。母は、夫に電話の内容を報告する。父は、すぐにデニスのパチンコを取り上げる。母は、さらにデニスに、「ウィルソンさんは、とても怒ってらしたわ」と言うと、デニスは、「おじさん、病気だと思ったから、助けようとしただけだよ」と言う〔これが、“わんぱくデニス” の本質。原題の『Dennis the Menace』の、Menaceは “危険な子” という意味。邦題の “わんぱく” という言葉には “意図的” なニュアンスが感じられるが、デニスは、“結果として危険な子” にはなったが、本人に悪気はないので、実に天真爛漫。そこが、デニスの魅力でもあり、怖いところでもある〕。それを聞いた父は、「部屋の隅に行って、自分のしたことを反省しなさい」と言うが、母は、パートに出かける時間なので、「部屋の隅には行けないわ。マーガレット〔デニスと同じクラスの女の子〕の家に連れていかないと」と夫に言う。それを聞いたデニスは、悲鳴をあげる。そして、「マーガレットんち! ぼく、あの家に行かされるような悪いこと、してないよ! マーガレットはキチガイだ。ぼく、スゴイことになっちゃう。生き じごくだよ!」と、恐怖を語る。しかし、今は夏休み中で、6歳児を1人で家に置いては行けない。デニスは、「学校に行きたい!」と叫ぶが(3枚目の写真)、父から、「そこまで! 議論はしたくない!」と叱られ、デニスは、顔をテーブルにつけて、「ぼくの人生、ボロボロ」と悲しがる。
  
  
  

ウィルソンは、車で出勤しようとするデニスの父の前に出て行くと、相手の謝罪を遮り、文句を並べ立てる。そして、車が動き出して、相手が聞いていなくても、「自由な時間のすべてをウチで過ごされてはかなわん! わしは、意地悪でも何でもない。犠牲者なんだ!」と怒鳴る。それを聞いたウィルソンの奥さんが家から出てきて、「ジョージ、誰に向かって叫んでるの?」と訊く〔車はもういなくなっている〕。「叫んでたんじゃない、主張してたんだ。あいつの悪ガキが、人や物に関係なく、勝手放題に暴れ回るのは許せんからな」。「まだ、子供じゃないの、ジョージ」。「あのガキには、際限なくムカつかされる。許せん。危険な奴だ!」。そのあと、今日が、ウィルソンにとって大事な日であることが語られる。ウィルソンの家の庭が、“町一番の庭” に選ばれる確率が高いのだ。それは、40年かけて育ててきた一種の夜咲きの蘭の花で、次の満月の夜に一瞬だけ咲いて終わるというもの〔もちろん、そんな花は存在しないが、一番近いのは、2年に一度2日間しか咲かないスマトラオオコンニャクの花〕。一方、母の車に乗せられたデニスは、「ママが働いてること、どう思う? たくさんのママが働いてるわ」と一般論を述べた後で、「あなたを預ける人を探したんだけど、ウェイドさんしか見つからなかったの」と説明する(1枚目の写真)。デニスは、友達のジョーイが遊びに来た時に僕がいなかったら、と心配するが、そのジョーイもウェイド家に預けられていると教えられる。ここで、カメラは、既にウェイド家に預けられているジョーイと、怖いマーガレットの様子を映す。マーガレットはデニスのことが好きだが、冴えないジョーイのことは嫌い。そこで、ジョーイを脅し、目を閉じて唇を飛び出させておいて、プラスチックの人形のお尻を押し付け、キスさせる。カメラは、ウェイド家の前に着いたデニスの車に切り替わり、母が 嫌がるデニスを車から降ろす。すると、デニスはそのまま通路に横に寝転がって抵抗する。母は、デニスの両手を握ると、そのまま引きずって行く(2枚目の写真)。マーガレットは、犠牲者として加わったデニスに、「男の子って、ホントつまんないわね。することいっぱいあるのに」と バカにする。デニスは、「そうかい? どんな?」と反論。マーガレットは、女の子らしい遊びを並べる。デニスは、「そんなのどうだっていい。ぼくたち、することあるんだ」と、ジョーイと一緒に ツリーハウスの “砦” に行こうとする(3枚目の写真)。
  
  
  

“町一番の庭” の審査会。賞は、ジョージ・ウィルソンの庭と発表され(1枚目の写真)、ウィルソンは、万感の思いで喜びを現わす(2枚目の写真)。短いが、後につながる重要なシーンなので、敢えて紹介する。
  
  

もう1つ。町の外れをひた走る貨物列車の貨車の扉が開くと、赤信号でスピードが遅くなった頃合いを見計らい、一人の男が飛び降りる(1枚目の写真、矢印)。男は斜面を転がり落ち、立ち上がると、ニッと歯を見せ(2枚目の写真)、これから盗みに入る町の眺めを気に入る(2枚目の写真)。これも、短いが、後につながる重要なシーンなので、敢えて紹介する。
  
  

ここで、パートで働いている母が、ショッピング・モールの運営会社の会議で、1階のおもちゃ屋を3階に移動させた方がいいと提案し、生意気な女性正社員から嫌がらせの言葉を投げかけられるシーンがある〔エンドクレジットの “オマケ” と関係があるので、言及した〕。そのあとが、デニス、マーガレット、ジョーイの3人が “砦” に向かうシーン。この映画では、面白くもないのに、原作にあるため、マーガレットのシーンが結構長く続く。ここでは、先ほどの出会いと、次の “砦” のシーンだけ紹介する。というのは、デニスの “危険な子” と何の関係もないからだ。この映画が、興行的には大成功だったが、評論家の点数が辛かったのは、原作に拘ってマーガレットを入れたからであろう。以下のシーンを全部削って、デニスの無邪気なわんぱくシーンを追加していたら、もっと評価は高くなっていたに違いない。デニスは率先して斜面を登り “砦” に向かう。その後を、デニスを好きなマーガレットが追い、ジョーイは、さっきお尻にキスさせられたマーガレットの人形を乗せたベビーカーを苦労して引っ張り上げている(1枚目の写真)。マーガレットは、「男の人って、赤ちゃんの世話、すっごく下手なのどうしてか知ってる?」とデニスに訊く。「男の人は、やることがいっぱいあるからさ」。「何なの? ゴルフをしたり、ビールを飲んだり?」。「ううん。狩りをしたり、戦争したり、運転したり、ひげそったり、魚をさばいたり。きみ、やり方、知ってる?」(2枚目の写真)。「女の人がいなかったら、赤ちゃん生まれないのよ」。「男の人がいなかったら、病院まで連れていけないよ」。そのあとも、似たような会話が続き、デニスとジョーイはツリーハウスに登る。その中で、ジョーイに釘の頭を持たせ、デニスが金槌で打つ場面があるが(3枚目の写真、矢印)、デニスは悪い子でもドジな子でもないので、事故は起きない〔こんなつまらないシーン、何のために挿入したのだろう? DVDの特典映像にデニス・シリーズの原作者がよく登場するので、強く要請されたのだろうか?〕
  
  
  

夕方、家に帰ったデニスは、ツリーハウスに塗るためのペンキを取りに、自宅の小屋の棚の上まで登る。そして、ペンキの缶を、腕を通して肩にかける(1枚目の写真、矢印)。そして、1段降りた時、自分の大事なパチンコが置いてあるのに気付く〔デニスから取り上げた父が、ここに隠した〕。デニスが、パチンコを取ろうと腕を伸ばした瞬間、腕を通して肩にかかっていただけのペンキの缶が、そのまま滑り落ちて床に当り、その衝撃で蓋が外れ、中のペンキが飛び散る(2枚目の写真)〔デニスに悪気はない〕。場面は変わり、ベビーシッターの女子高校生ポリーがデニスの家を訪れ、父がドアを開ける。その時、ポリーがヘルメットを持っていたので、父が理由を訊くと、「私の友だち、デニスのベビー・シットに行く時は、ヘルメットとズボンを持ってくって言ってた」と説明する。一方、ウィルソンは、ガレージを開けて、屋外用のシチュー・ポットを運び出す。デニスは、ペンキで汚れたコンクリートの床をきれいにしようと、業務用の乾湿両用(ウェット&ドライ)電気掃除機〔日本ではほとんど売っていないが、注意書きとして、「吸水出来るのは水のみです。油や洗剤を含む水を吸い込むと故障の原因になります」と書いてある〕を使って、油性ペンキを吸い取っている(3枚目の写真)〔デニスに悪気はない〕
  
  
  

父が、家を出て行き、デニスは、掃除機を元に戻そうと、スイッチを入れたまま、芝生の上を転がして家に向かう。途中で、パイプ〔ウェット&ドライの掃除機は、すべて、吸入口がパイプになっている〕を自分の顔に向けてみる。すると、髪の毛が吸い込まれそうになったので、必死になって外す。そして、危ないから止めようして、掃除機についた「IN/OUT」のボタンを押す。すると、激しい音がして、手に持ったパイプから何かが飛び出して行く(1枚目の写真)〔デニスに悪気はない〕。すると、地上数10mまで上がったペンキのドロドロの塊は、落下を始め、ウィルソンの屋外用のシチュー・ポットの中に入る(2枚目の写真、矢印)。シチューが完成し、ウィルソンは、庭のテーブルに奥さんと並んで座り、先に一口食べる。しかし、噛むにしたがいペンキの味が口中に広がり、噛むのを止める。そして、「変な味だ。ペンキみたいだ」と言う(3枚目の写真)。奥さんは、「サンドイッチ、作るわ」と言い、皿を回収する。ウィルソンは、口の中の物を紙ナプキンに吐き出す。そして、第一容疑者として、デニスの家の方を睨む。
  
  
  

デニスの家に、ポリーのボーイフレンドがやって来る。玄関に出たデニスは、「ミッキーなの?」と訊く。「ああ」。「彼女、ママのバスルームで、わきの下用の香水使ってるよ。ミッキーが たねうま(種馬)みたいだから、キンチョーして汗かいてるんだって」(1枚目の写真)。ミッキーは、「そうか」と笑顔になって家に入る。次のシーンでは、デニスがお風呂に入り、脇で、ミッキーが子供用の絵本を読んでいる。デニスは、話も聞かずカエルの動く玩具や、サメの模型で遊んでいる(2枚目の写真)。いい加減イヤになったミッキーが、「もう、ここから出て、ベッドに行けよ」と言うが、デニスは 両手の指を見て、「まだシワができてないから、読んでよ」と言って、ニッコリする(3枚目の写真)〔長時間風呂に入っていると、指先がシワシワになる、と書いてあった〕。ミッキーは読み続けるが、「Sobbobed(すすり泣いた)」を2度も読み間違えるので、頭は悪そう。
  
  
  

夜になり、デニスは、ポリーとミッキーが何をしているか見ようと、こっそり階段を下りて来る。そして、階段の途中で2人が居間のソファで抱き合っているのを見て、笑顔になると、手で口を押えて笑いながら一番下まで降り、そのままこっそり玄関に向かう(1枚目の写真)。そして、玄関を出ると、ドアを閉め、ドアの脇のチャイムのボタンを押す(2枚目の写真)。その音で、抱き合っていた2人はびっくりして離れる。ミッキーは、無断で家にいるので、ポリーが玄関まで行き、ドアを開ける。デニスはフェンスの影に身を潜めている(3枚目の写真)。ポリーは、中に戻って、「ガキよ」とミッキーに言うと、再び抱き合う。デニスは、もう一度チャイムを鳴らし、それに怒った2人は対策を講じることに。
  
  
  

一方、ウィルソンは、ペンキ入りシチューの証拠を見つけようと、デニスの家のガレージに侵入し、ウェット&ドライの掃除機のパイプを調べている(1枚目の写真)。そして、よく分からないので、パイプを投げ捨てると、パイプの先にちょうどゴルフボールが。ウィルソンが、掃除機のスイッチを入れると、ゴルフボールがパイプに吸い込まれる。そして、中で詰まってパイプが立ち上がり、ウィルソンの股下に向かう。ウィルソンが、「IN/OUT」のボタンを押すと、ゴルフボールがウィルソンの陰部を直撃し(2枚目の写真、矢印の方向に飛び出る)、ウィルソンの顔が何とも言えない顔に(3枚目の写真)。
  
  
  

ミッキーは、ドアから外に出ると、体でチャイムを隠し、こっそりボタンに画鋲を張り付ける(1枚目の写真、矢印)。そして、小麦粉の入った器を手に持つ。ドアの真上の2階の窓では、ポリーが水の入ったポリバケツを窓辺に置く(2枚目の写真、矢印)。デニスが3度目を狙ってドアに近づくと、ガレージから痛さにうなりながら体を曲げて歩いてくるウィルソンを見つけ、急いで隠れる。ウィルソンは、「証拠をつかんだぞ。ミッチェル〔デニスの父〕も否定できん」と呻きつつ、玄関まで行く。デニスは、裏口のスモールドッグドアから家の中に逃げ込む。ウィルソンが、何とか体を起こして、チャイムのボタンを押すと、指に画鋲が刺さり、2階からバケツの水が降って来る(3枚目の写真、矢印はチャイムのボタン)。全身びしょ濡れになったところで、ドアが開き、ミッキーが小麦粉をぶちまけ、ウィルソンは真っ白に。自分のしたことを悟ったミッキーは、「失礼。お休み」と言って、ドアを閉める。その姿で帰宅したウィルソンは、びっくりして目をみはる奥さんに、「ただの子供だと?」と言うが、やったのは、ミッキーとポリーなので、これは誤解としか言いようがない。
  
  
  

翌朝、デニスは、「ウィルソンさんへ」と書いた緑の画用紙を持って、ウィルソンの家に行き、キッチンにいる彼の奥さんに、「お早う、ウィルソンのおばさん」と、ニコニコしながら声をかける。「ウィルソンさん、起きてる?」。「まだよ」。「いつまで、寝てるんだと思う?」。「すぐ起きるわ。今朝、写真を撮ることになってるから」。「どうして?」。「お庭が、表彰されたから」。「ぼくが2階に行ったら、おじさん、頭にくると思う?」(1枚目の写真)。「2階に、何しに行くの?」。「『チキンにペンキ、ごめんなさい』のカード、作ったの」。「それは、いいことね」。「今日は忙しいから、会って渡せないから、ひげそりのトコに置いてもいい?」(2枚目の写真)「ぼくのパパの『ごめんなさい』カードも、そこに置くの。おとなの人は、朝起きたときが、きげんがいいから」。ウィルソンの奥さんは、夫を起こさないよう注意してから2階に行かせる。デニスは、「約束するよ」と言い、行こうとして振り返ると、「知ってた、ウィルソンのおばさん?」と訊く。「何を?」。「このへんで、一ばんナイスなおばさんギャルだよ」(3枚目の写真)。
  
  
  

デニスは ウィルソンの寝室に入り、彼には構わず、隣のバスルームに入って行き、洗面台の棚の一番下に置いてあった半球形の容器の下に緑の画用紙を入れる(1枚目の写真)。好奇心旺盛なデニスは、半球形の容器の中に入っていた総入れ歯に興味を持ち、取り出してみる(2枚目の写真)〔人の物に勝手に触れるのは良くないことだが、悪気はない〕。そして、自分の口の前に当てて、「やあ、ぼくはデニス・ミッチェルだよ。お医者さんだよ。口を開けて、『あー』と言って」と遊ぶ(3枚目の写真)。
  
  
  

口を思い切り大きく開けて、ぱちんと閉じた時、その勢いが強かったので、上顎部の中央の2本の歯が欠けて洗面器に落ち、排水口〔ステレンスの蓋が付いていない〕の中に落ちてしまう(1枚目の写真、矢印は抜けた2本)。自分の部屋に戻ったデニスは、チクレット・ガム〔個包装の糖衣ガム〕を取り出す(2枚目の写真)。画面は切り替わり、“町一番の庭” の受賞者のウィルソンを撮影するため、写真屋が家にやって来る。奥さんが、2階に向かって、「ジョージ、支度できてる? 写真屋が見えたわ」と呼ぶと、その声で目が覚めたウィルソンは、大急ぎで服を着て、入れ歯をはめる。庭で三脚を立てて待っている写真屋は、「9時半には次の仕事が」とイライラする。ウィルソンは、ネクタイをはめながら、「申し訳ない」と言って出て来る。そして、庭の前に一人で立つ。写真屋が、「笑って」〔チーズとは言わない〕と言うと、ウィルソンは口を開けて笑顔になる(3枚目の写真)。写真屋はびっくりするが、何も言わない。
  
  
  

ここで、前回、貨車から飛び降りた怪しい男の “その後” が挿入される。公園の一角に設けられたブランコで、2人の母親が3人の幼児をブランコに乗せて遊ばせている。ブランコと公園内の道路との間に立てられた低いフェンスに、男が肩ひじをついてタバコを吸っている。男は、フェンスに掛けられた1人の母親のハンドバッグの上に、自分の汚くて大きなコートを掛ける。その時、パトカーがやってきて怪しい男の後ろ姿に気付き、停車すると、「おい、あんた」と声を掛ける。振り向いた男に、警官は、「あんただ。こっちへ」と呼ぶ。男は、ハンドバッグごと、コートを肩に掛けるとパトカーに向かう。警官は、パトカーから降りると、「見掛けない顔だな」と言う。「この辺りに来たことはないんでね」。「あんた、何をする気だ?」。「関係ないだろ〔What's it to you〕?」。その返事に、警官は、「いいか、俺は、ここを、素敵なきれいな町にしたい。面倒は真っ平だ」(1枚目の写真)「ここじゃなくて、どこか他でやらかしてくれ」と勧告する。怪しい男は、「あんたが邪魔してなきゃ、こんなトコにいるもんか」と言うと、悠々と立ち去る途中で、盗んだハンドバッグを見てみる(2枚目の写真、矢印)。
  
  

デニスの母のパート先では、嫌らしい女性正社員が寄ってくると、電話中にもかかわらず、うるさい爪の音で電話を止めさせ、「オクラホマ・シティへの出張を断ったそうね」と言う(1枚目の写真)。「延期をお願いしたんです」。「ボーイスカウトか何かで?」。「先に決まっていた主人の出張と重なったので」。「2人が同時に出張すると、誰も子供の面倒が見れないから?」。「いいえ」。「なら、良かった。あなたが出張を断ると、私が代わりに行かないといけないけど、予定があるのよね。子供はいないけど、やることがあるから」。そう勝手なことを並べると、さっさと立ち去る。夕方、帰宅した母は、夫と一緒に、デニスの面倒を1日見てくれそうな人のリストを出し、2人で交互に電話を掛けていく。しかし、デニスのベビーシッターをしたことのある全員に断られ、2人は困り果てる(2枚目の写真)。名簿に残った唯一の名前は、お隣のウィルソンのみ。翌朝、ウィルソンが新聞を取りに行き、自分の写真が載っているであろう新聞を楽しみにして広げてみると、「元郵便配達人、町一番の庭の栄誉に輝く」という記事の下に、チクレット・ガムの入れ歯をした笑顔の写真が(3枚目の写真)。
  
  
  

彼が、その写真を、衝撃を受けて見ていると、デニスの、「ウィルソンさん!」という元気な声が聞こえる。「お泊まりさせてもらうね」(1枚目の写真)。すると、映画の場面にはなかったが、昨夜か今朝、デニスの両親のどちらかに頼み込まれたであろう奥さんが出て来る。デニス:「バッタ、何匹か持ってきたよ」。後ろから、デニスの両親もついてくる。ウィルソンは、嫌味を言えないので、「そんな、よかったのに〔You shouldn't have〕」と、断腸の感謝の言葉。デニスの母は、「どうもありがとう、マーサ、ジョージ」と感謝する。心優しいウィルソンの奥さん:「どういたしまして」。デニスの父:「本当に助かりました〔You saved our lives〕」。ウィルソン:「2人は助かり、1人はくたばる」。母:「向こうに着き次第、お電話します」。母が デニスの枕を渡し、デニスは、「ぼくの枕もって来たの。そうすれば、よだれで汚さずにすむでしょ」と意図を説明する。両親は、いい子でいるよう言い聞かせて、再度、感謝の言葉を述べて出かける。デニスは、ウィルソンの前まで来ると、「ぼく、どうして泣いてないかわかる? それはね、パパやママと一緒にいられないんなら、ぼくが一緒にいたいのはおじさんだからだよ」と言う(2枚目の写真)。この、デニスの “本質的にいい子” の言葉を聞いても、ウィルソンの顔は疑いに満ちている(3枚目の写真)。
  
  
  

雨が降り出し、デニスはウィルソンの書斎の窓辺に座り込んで、つまらなさそうにぼんやりしている。ブラインドのヒモの先端を窓にぶつけていて、ウィルソンからうるさいと叱られる。「雨の日は、外で遊べなくて つまらないもん」(1枚目の写真)。そして、「トランプしない?」「おじさんの昔の海軍の軍服着て 戦争ごっこしない?」と話しかけ、すべて却下。ウィルソンは、金貨のコレクションを眺めて悦にいっている。デニスが、「それ、海賊の金貨」と訊くと、「いいや」。「ものすごく だいじなもの?」。「そうだ」。「だから、金庫にしまってるの?」。「ああ」。デニスは、本棚の一部に作られた金庫の前に行き、「おじさんの金庫、どうして本の形 してるの?」と訊く。「なんで、質問ばかりするんだ?」。「生まれてまだ5年だから、知らないことがいっぱいあるんだ」(2枚目の写真、矢印は金貨)。ウィルソンは、その答えに納得し、「金庫が本の形なら、泥棒が入ったって、分からないだろ」と教える。「“どろぼう” って強盗のこと?」。「そうだ」。「強盗に入られたことある?」。「いいや」。「金庫の鍵の数字は?」。「お前さんにだけは、絶対教えないぞ」。「どこかにメモってあるの?」。「頭の中にな」。「どういうこと?」。「記憶してるんだ」。「もし忘れたら?」。「忘れん。よく知ってる数字だ」。「ぼく、分っちゃった」。「そうか」。「おじさんの家の番地だ」。それが正しかったので、ウィルソンは愕然とする。「ぼくの友だちが自転車の鍵の番号に、家の番地を使ってるんだ。おじさんって、その子と同じくらい頭いいね」(3枚目の写真)。
  
  
  

夜になり、デニスはお風呂に入っている。湯がバスタブ一杯なので、デニスが中でくるくる回りながら歌っていると、泡混じりの湯が、床タイルの上に散乱する(1枚目の写真)。隣の寝室で、それを楽しそうに聞いていたウィルソンの奥さん〔子供がいないので、デニスが可愛い〕が、「もう シワシワになった?」と訊く。デニスは、両手の指を見て、「うん」と答える。「バスタブから出るの、手伝って欲しい?」。「ううん。コウノトリが見たもの〔ペニス〕を見たいんじゃなきゃ」。デニスは、お風呂から出ると、洗面台の前で歯を磨くが、歯ブラシを置いた横に、白いプラスチックの薬剤が置いてある〔この時点では、薬局名、処方した医者の名しか映らないので、処方薬としか分からない〕。デニスが、キャップを回転させて外し、容器を押すと、透明な液体が糸のように飛び出る。デニスは、「すごい! オールド・フェイスフル〔イエローストン国立公園にある巨大な間欠泉〕だ!」と喜び、鏡に振りかけて遊ぶ(2枚目の写真)。中身が空になると、勝手にいじったことがバレて叱られると思い、先端の細いノズルを外し、洗面台の上の棚から透明な液体の入ったビンを取り出す。そのビンには、大きな商品名の下に、小さく 「DENTAL RINSE(洗口液)」と書かれているが、デニスには分からない。彼は、それを取り出すと、空になった液体処方薬の容器の中に注ぎ入れる(3枚目の写真)。小さな子供らしく、荒っぽく入れたので、今度は洗口液のビンが空になる。デニスは、今度は下の棚を開け、液体の入った別のポリ容器を取り出す。商品の用途は書いてないが、今度は商品名から、多目的の掃除用洗剤だと分かる。デニスは、その中身を、空になった洗口液のビンに入れる(4枚目の写真)〔ここまで来ると、勝手に他人の家の物を触る悪い子になるが、行為自体に、悪意はない〕
  
  
  
  

ウィルソンは、雨が降っている間、大事な “夜咲きの蘭” の開花寸前の蕾にかけておいた傘を、雨が止んだので片付けに行き、そのまま自分の寝室に直行する。そして、バスルームに入った途端、タイルの上の石鹸水に滑り、両足を180度開いた形で床に叩きつけられる(1枚目の写真)。ウィルソンは、何とか洗面台につかまって立ち上がると、新しいパジャマの脚の部分が破れている。ウィルソンは、上の棚を開けて、洗口液の容器を取り出し、口に入れるが(2枚目の写真)、中身は多目的の掃除用洗剤なので、うがいしようとして、たまらずに吐き出し、悲鳴を上げる。口の中を何とかしようと、水道の蛇口から直接水を口に入れて洗う。それが一段落すると、つまった鼻を何とかしようと、白いプラスチックの処方薬を取り出すと、鼻に突っ込む〔この時点で、点鼻薬だと分かる〕。そして、洗口液を鼻の中にスプレーする。思わず、顔が歪む(3枚目の写真)。そして、再び悲鳴を上げ、洗面台に張った水の中に顔を突っ込んで口から鼻にかけて洗い落とす。ウィルソンの奥さんが、ベッドまで行くと、ウィルソンは、「デニスはバスルームにいたか?」と訊く。「ええ」。「あのクソチビめ、わしの鼻スプレーにうがい薬を入れ、うがい薬にトイレ洗剤を入れやがった」と文句を言う。奥さんは、「なぜ、あの子が、そんなことするの?」。奥さんは、2人の間に子供がいないことを持ち出す。そして、「私、いい母親になれたかも」〔だから、奥さんは、デニスが好き〕。ウィルソンは、「誰も、要らないなんて思った訳じゃない。どうにもならなかったんだ」と宥める。
  
  
  

翌日の夜は、“町一番の庭” の受賞を受けて、ウィルソンの家の庭でパーティが開かれる。そこで、朝から、ウィルソンは、庭の照明用に昔買っておいた大量のチョウチンを、屋根裏部屋で躍起になって捜している。一方、デニスは、小屋に置いてあった雑誌を見て、「パンツの中で、こんなすごいことするなんて勇気いるね」と言うと、ウィルソンから、「それを置くんだ。子供の見るもんじゃない!」と叱られる(1枚目の写真、矢印はアダルト雑誌)。何もすることがないデニスは、すぐ横の小さな棚の上に置いてある、「防虫剤」と書かれた紙箱に注目する。箱に、たくさんの白い球体の絵が描いてあったからだ。しかし、箱を手に取って中を覗くと、ものすごい臭いがしたので、急いで開口部を閉じようと、紙の上蓋を思い切り閉めて押すと、手が中に入ってしまい、箱の底が開いて防虫剤が全部床に落下する(2枚目の写真)。デニスは、失敗を隠そうと口笛を吹いて誤魔化す。次に、デニスが天井を見上げると、屋根材が交差した天辺に1隻のカヌーが吊るしてある。そのカヌーを吊り下げている細いロープは、すぐ近くの “屋根材に打ち付けた金具” に巻き付けられている。デニスが、そのロープの先端を金具から外す(3枚目の写真、矢印)。
  
  
  

その時、ウィルソンがそれまで捜していた場所を離れ、床を歩こうとして、たくさん落ちている防虫剤に滑って空中に舞い上がる(1枚目の写真)。そして、床に仰向けに叩きつけられると、その衝撃で、外したロープが緩んで、カヌーが落下。先端が、ウィルソンの開いた股の間にドスンとぶつかるが、幸い怪我は免れた(2枚目の写真、矢印は、カヌーの先端を留めていたロープ)。ホッとしたのも束の間、捜していたたくさんのチョウチンは、カヌーの中に入っていて、それが一気にウィルソン目がけて転がり落ちて来て、上半身がチョウチンで見えなくなる(3枚目の写真)。デニスは、ウィルソンの顔の部分のチョウチンを外すと、「ぼく、外で遊んだ方がいいみたい」と言い、チョウチンをまたかぶせて、そっと出て行く。
  
  
  

デニスの母が、オクラホマ・シティの空港から電話かけてくる。電話を取ったのは、ウィルソンの奥さん。内容は、嵐がひどくて飛行機がキャンセルされたというもの。奥さんは、「心配しないで」と言うが、後でその話を聞いたウィルソンの最初の言葉は、「絶対にダメだ〔Over my dead body〕!」。さらに、「これは、わしの引退生活の最高の瞬間で、時間通りに空港〔ウィルソンの住んでいる町の〕に着けんような間抜けのために、ポイ捨てされてたまるか!」という激しい言葉が続く(1枚目の写真)。奥さんは、天気のせいなので仕方ないと諫めただけでなく、「坊やもパーティに参加させます。助けが必要な時に隣人を見捨てたいのなら、あなた一人でやってちょうだい」と反撃に出る。そして、その言葉通り、デニスは家から取って来た一張羅を着て、パーティに臨む。ウィルソンは、「これは、わしにとって大事なパーティだ」と念を押すと、デニスは、「知ってるよ」と答える(2枚目の写真)。「バかなことはするな。精一杯気をつけて、困らせるんじゃないぞ〔don't be a pest〕」。「いいよ」。「わしに恥をかかせるな」。そのあと、お客として招かれた引退生活組の老婦人達が、「可愛い坊やね」と言って寄って来ると、ほっぺや髪の毛を触られる(3枚目の写真)。
  
  
  

デニスは、迷惑をかけないように、一番端の方に一人で座っている。それでも、司会の声だけ聞こえて姿が見えないので、ドアを開ける(1枚目の写真)。すると、その先の窓越しに審査会の会長夫妻の顔が見える。と、同時に、窓のすぐ横に、1つの押しボタンがあるのが見える。デニスは、どうしようかとしばらく考える。しかし、誘惑に駆られてついにボタンを押してしまう。すると、後ろで変な音がして、小屋の大きな一枚扉が跳ね上げるように上向きに開いて行く(2枚目の写真)。そして、ウィルソンが会長夫妻の前に拍手で迎えられている時、開いていく扉は、 その前に置いてあったパーティ用の食べ物を乗せたテーブルを傾かせ、すべての皿がずるずると滑り落ちて行く(3枚目の写真) 。
  
  
  

ちょうど、その時、ウィルソンはスピーチを始める。「40年前、私は、この庭を始め、1つの種の植えました。その小さな種が、この大きな植物に育ったのです」と言い、夜咲きの蘭の花の大きな蕾を見せる。今夜、最初にして1回だけ、花を咲かせます。その輝かしい一瞬をお待ちいただく間、マーサと私は、あなた方のデザートとコーヒーを用意致しました。盛大な拍手とともに、ウィルソンはデニスの横を通ってデザートの方に行こうとする。デニスは、きまり悪そうな笑顔で、ウィルソンに手を振る(1枚目の写真)。その様子に不安を覚えたウィルソンだが、まさか、大事な “おもてなしデザート” が、こんな惨状になっているとは、予想を遥かに超えていた(2枚目の写真)。ウィルソンがデニスを睨むと、デニスは、「ぼく、間違えちゃった」と言う。招待客は、デザートなしで、イスに座り、正面に置かれた夜咲きの蘭の花の開花をじっと待つ。デニスは、普段着になって、2階に隔離され、窓からそれを見ている(3枚目の写真)。
  
  
  

まさに偶然だが、その頃、例の泥棒がウィルソンの家に入り込み、書斎に行くと、書棚の本をナイフで突き、本物の本かどうか調べている。そして、遂に金庫の蓋の本を突き、本でないことが分かる。泥棒はすぐさま、本に偽せた蓋を開け(1枚目の写真、矢印は偽物の本)、金庫を露出させる。一方、庭では、満月の光を浴びて、蕾の先端が割れる。泥棒は、既に、金庫の鍵も難なく開け、中身の金貨を見て ほくそ笑んでいる。そして、金貨を持って逃げる際、1個落としてしまい、それを靴で踏んだ時にバンと大きな音がする。2階にいてそれを聞いたデニスは、何だろうと不審に思う。庭では、蕾がいよいよ開き始める。デニスは1階に降りて行き、書斎の金庫が空になっているのを発見し、びっくりする(2枚目の写真)。庭では、花が開く寸前で、ウィルソンの顔が嬉しさに綻(ほころ)んでいる。その時、デニスがドアを開けて、「ウィルソンさん!!」と大声で叫ぶ(3枚目の写真、矢印はデニス)。「泥棒が入った!」。
  
  
  

その声で、招待客だけでなくウィルソンも振り返る(1枚目の写真)。すると、夜咲きの蘭の花がパッと開き(2枚目の写真)、ウィルソンが顔を戻した時には、もう萎れて何も残っていなかった(3枚目の写真)。
  
  
  

40年間、待ちに待ったものを見られなかったウィルソンの怒りは凄まじい。デニスを睨みながら、「40年が、一瞬のうちに消えた。お前は手に負えん。危険な子だ。自分のことしか考えん、甘やかされたガキだ。もう我慢ならん」(1枚目の写真)「お前は、二度と戻せんものを、わしから奪った。分かるか? お前なんか見たくない。お前なんか知らん。どけ!」と言い、家の中に入って行く。デニスは、「ごめんなさい、ウィルソンさん」と謝るが、無視される(2枚目の写真)。悲しくなったデニスは、泣きながら家に戻ると、いつもの自転車を引っ張り出し、どこかに消えていく(3枚目の写真、このシーンで初めて自転車の後ろに何がついているかよく分かる)。
  
  
  

ここからが、後半戦。これまでは、相手が善良な隣人ウィルソンだったので、デニスの “意にそぐわない”、“うっかりミス” の行為が、ウィルソンに多大な迷惑をかけてきたが、ここからの相手は泥棒。それでも、不思議なことに、デニスが “無垢” で “相手に危害を加えるつもりなど一切ない” ことに変わりはない。しかし、泥棒が受ける損傷は、ウィルソンの比ではなくなる。全編からすれば、時間にして4分の1程度だが、ここがあるから、『わんぱくデニス』は面白い。町を逃げ出したデニスは、不気味な夜の森を震えながら自転車を走らすうちに、いきなり恐ろしい顔つきの男と出くわし、仰天する(1枚目の写真)。その頃、少し遅れて家に着いたデニスの母は、いなくなったデニスのいそうな場所に電話をかけまくるが、当然、情報は全くない。その様子を、離れた所から見ていたウィルソンは、自分がデニスにぶつけた最後の過激な言葉を反省し、車を出して、探しに出かける。デニスは、泥棒が野宿していた石アーチの鉄道橋の下に連れて行かれる。デニスは、焚き火に当りながら、「この森、夜はとっても怖いんだ。おとなの人と出会えてホントよかった」と話す(2枚目の写真)。泥棒も、「実にうまい具合だ。お前は俺の人質になる」と言う。「カッコいい! でも、『ひとじち』は あしたまでだよ。朝は教会に行かないと」(3枚目の写真)〔デニスは、人質の意味を理解していない〕。「教会には行けん。お前と俺は、ここで、深夜の貨車に乗り込むんだ」。「ホントに? でも、まず、ぼくの家に寄るよ。ママとパパに話しとかないと、心配するから。きれいなパンツとカメラもいるし、ぼくの魚にエサをやるように頼まないといけないし、日焼け止めにビタミン剤、汽車の中で退屈しないようにゲームも…」。泥棒は、夕食の大きな缶詰をナイフでこじ開けるのに忙しくて デニスの相手をするのにウンザリし、「口をつぐんでろ〔Put a cork in it、(口に)してろ〕。頭が痛くなる」と命じる。「『』なんか持ってない」。「黙ってろ〔Shut your mouth、口を閉じてろ〕!」。「ぼく、アレルギーで鼻がつまってるから、『口を閉じ』たら息できないよ」。「なら、口は開けてろ。だが、しゃべるな!」。「『栓してろ』と言ったけど、どこにするの?」。「キャンキャンうるさいと、言わんかったか?」。「『キャンキャン』って?」。「口のこった」。「鼻がつまってるから、口は閉じられないってば」。「黙れ!!」。
  
  
  

一時は、黙ったデニスだが、すぐに、「あと1つだけ、教えて」と訊く。「何だ?」。「『ひとじち』って、何するの?」。「何も」。「なら、なんのためにいるの?」。「ポリ公が来た時のためだ」。「ぼく、銃を撃つの?」。「ポリ公が銃で撃とうとしたら、お前は俺の前に立つんだ」。「ぼく、パチンコあるよ」。「えらいぞ」。「上手なんだ。見たい?」。泥棒は、缶詰と格闘中。「ねえ、おじさん、見てみたくない? ちょっとでもいいから」。その時、ようやく豆の一杯詰まった缶の蓋が開く。「じゃあ、撃ったら教えるからね」(1枚目の写真)。デニスは、パチンコの玉を遠くの木に向けて撃つ(2枚目の写真、矢印は玉の方向)。ところが、木の幹に当った玉は、そのまま跳ね返り、振り向いた泥棒の額に当る。泥棒は痛さに喘ぐ(3枚目の写真)〔デニスに悪気はない〕
  
  
  

デニスは、戻って来た玉など見ていないので、「おじさんの焚き火、ちっちゃくなったね。こんな時、パパは、かき回すよ、すると、おっきくなるんだ」と言い出す。泥棒は、額が痛くて、川の水で冷やそうとする。デニスが、かき回していると、火のついた塊が空中に飛び上がり(1枚目の写真)、それが、泥棒のスボンの中に入る(2枚目の写真)。最初は、頭に気を取られて気付かなかった泥棒だが、お尻が燃えるように熱くなったので、何とかしようと、お尻でコンクリートの地面を擦るが、そんなことで火は消えないので、川に飛び込む(3枚目の写真)。飛び込んだ所の真下には、大きな木の板の厚板があり、泥棒は全身を打ち付ける〔デニスに悪気はない〕
  
  
  

川から這い上がった泥棒に、デニスは、「せっかくのキャンプ旅行が、こんなことになってごめんなさい」と謝る。泥棒は、ロープを取り出すと、「俺の頭にビー玉を撃ちやがったな! 俺のズボンに火を点けやがったな!」と罵る。「事故だよ」。泥棒は、軽々とデニスを持ち上げると、「これ以上、事故が起きんようにしてやる!」と 叫ぶように言うと、後ろを向かせ、足にロープを縛り付ける。それを見たデニスは、「やり方、違ってるよ」と言う。「うるせえ。これまで、たくさんの奴を縛ってきたんだ」。「でも、5歳の子をしばったこと、ないでしょ。こんなの、すぐ出れちゃうよ」。「ギュッと縛るから、動けねえんだ」。「ロープが太すぎて、ぼく細い足はギュッとしばれないよ。みんなが、ぼくをしばろうとしたけど、誰もできなかったんだ。やり方は1つしかないんだけど、好きにやれば?」。泥棒は立ち上がると、「どこが違うんだ?」と尋ねる。デニスは、泥棒のロープから いとも簡単に抜け出すと、泥棒の足にロープを縛り始める。「まず最初に、片方の足をしばる」。右足を縛ると、次に左足に移る、「次に、もう片方の足をしばる」(1枚目の写真、矢印は2つの足)。「そしたら、両方を結ぶんだ」。デニスは、縛り終えると、「どんなにもがいても、抜け出せないよ」と言い、泥棒も飛び上がってみて納得する。デニスは、さらに、「もし、ぼくを、ぜんぜん動けないようにしたければ…」と言い、下に置いてあった手錠で泥棒の両手を連結し、「屈んで」と言って、手錠と脚のロープを結びつける。完成すると、「これで、抜け出すことはぜったいできないでしょ?」と、笑顔で訊く(2枚目の写真、矢印は、泥棒の屈んだ両手)。泥棒は納得する。「じゃあ、解いてくれ」。「いいよ」。「手錠の鍵は、袋の中だ」。デニスは袋の中から鍵を取り出し、持って行く途中で、下に置いてあった皿につまづいて転倒。鍵は、焚き火で暖め中の缶詰の豆〔鍋に移し替えてある〕の中に落ちて(3枚目の写真)、そのまま中に沈んで見えなくなる〔デニスに悪気はない〕
  
  
  

その頃、町では、住民が総出でデニスを捜している。橋の下では、鍋の豆を 大きな木のスプーンに載せたデニスが、泥棒に食べさせてようとする。泥棒は、「殺してやる」と言うが、デニスは、「どうやって? 動けないのに」「口を開けて。こうしないと、鍵、みつからないよ」「食べ物をそまつにしちゃいけないんだ。それに、夕食、まだでしょ?」。そう言うと、木のスプーンを 泥棒の口に近づけ、「ほら、アーンして」(1・2枚目の写真)。結果的に、泥棒は大きな缶詰1個分の豆を全部食べさせられ、お腹は はち切れんばかりに膨らむ。鍋が空になっても鍵はない。デニスは、申し訳なさそうに、「おじさん、飲み込んじゃったみたい。ぼくも、一度、おこづかいのコインを飲み込んじゃったけど、とり戻すまでに、一晩と一日かかっちゃった」と言う。仰向けに縛られて転がったままの泥棒は、焚き火のそばの石の上に、自分のナイフが置いてあるのを見つけ、それを使ってロープを切ろうと、体を揺すりながら、転がって行く。一方、デニスは、橋の上の線路まで行き、保守用に置いてある枕木の1本を、焚き火の燃料用に拝借する。泥棒は、何とかナイフをつかむと、さっそく足を縛っているロープを切り始める。泥棒がロープの切断を終わって喜んでいると、頭上で、「たきぎ、投下」という声がし、ちょうど上半身を起こしていた泥棒の頭を枕木が直撃する。泥棒は、そのまま気絶する(3枚目の写真)〔デニスに悪気はない〕
  
  
  

橋の下まで降りて来たデニスは、気を失った泥棒を見て、「かわいそうな、おじさん。疲れてるんだ。かぜ引かないように、何か掛けてあげなくちゃ」と言うと、泥棒の袋の中から毛布を取り出す。その時までに、意識を取り戻した泥棒は、何とか立ち上がろうとしていたが、デニスが、毛布の汚れを振り払おうと、バタンと大きく払った時、中に入っていた箱が、飛んでいき、泥棒の頭を直撃、再び元の位置に倒れ込む。デニスは、重い毛布を引きずって泥棒のところまで行くが、その時、コートが焚火の上を通り、火が点く。それに気付かないまま、デニスは、泥棒の首まで、毛布をしっかりと掛けてやる。「これでいいや」(1枚目の写真、矢印は毛布)。デニスは、先ほど飛んでいった金属の箱を拾い上げると、焚き火の反対側に座り、中に何が入っているか見てみる〔中は盗品だが、デニスは気付かない〕(2枚目の写真、焚き火の右側の火は、毛布が燃えている炎)。泥棒は、気絶したまま、あまりの熱さに苦しみ始める。デニスは、金属の箱を泥棒の袋に戻す。そのついでに、別の中身を引っ張り出すと、女性のハンドバッグが出て来る〔デニスは不思議がるが、盗品とは気付かない〕。その時、泥棒の目が開き、毛布の火に悲鳴を上げる。デニスは、泥棒の袋を背負うと、それを毛布に叩きつけて火を消そうとするが、そんなことで火は消えない。我慢できなくなった泥棒は、再び川に飛び込む(3枚目の写真)。この時も、木の板の上〔さっきと違い、うつ伏せ状態〕〔デニスに悪気はない〕
  
  
  

町での捜索は、さらに大掛かりになっている。川でアップアップしている泥棒〔1回目と違い、両手に手錠がかかっているので、簡単に泳げない〕を見たデニスは、再び線路まで上がると、「そこから、出してあげる。手錠をかけたまま、川に飛びこんじゃいけないんだよ。おぼれちゃう」と軽率さを批判しながら、ロープを架線の鉄柱に引っかけて、レールの上を引っ張っていく(1枚目の写真、2つの矢印はロープ)。そして、レールの脇の排水口の小さな穴から、真下にいる泥棒に向かって、「ねえ、おじさん。ぼくが、ロープについて いろいろ知ってて運がよかったね」と言いながら、その穴から、先端に輪を作ったロープを垂らし入れる。「いい子だ」。「ウィルソンさんが、結び方、教えてくれたの。これが終わったら、ぼく もう寝るね。疲れちゃった」。泥棒は、吊り下げされたロープの輪に片足を入れる。デニスは、ロープのもう一方の端を泥棒に投げ渡す。泥棒がロープを引けば、架線の鉄柱と、排水溝を経由して泥棒の足に繋がった体を、岸に近づけて持ち上げるというシステムだ。デニスは向きを変えようと足を動かした時、落ちていた小袋を踏み、そこから金貨などが出て来る(2枚目の写真)。泥棒は、岸に辿り着き、ロープを引いて体を持ち上げる(3枚目の写真、矢印はロープ)〔デニスの行為はすべて好意〕
  
  
  

すると、さっき使ったナイフがすぐ近くに落ちている。泥棒は、川から何とか上がると、手錠をはめられた手でナイフをつかんで立ち上がる。金貨を見ていたデニスは、「これ、ウィルソンさんの金貨だ」と言い、振り向きながら、「なんで、おじさんが持ってるの?」と訊く。「盗んだのさ」。「おじさん、強盗?」(1枚目の写真)。「泥棒だ」。その頃、線路上を走って来た貨物列車が、架線の鉄柱にかかっていたロープを引っかける。「お祈りでもしな、子ネズミ」。「できないよ。まだお風呂に入ってないもん」。泥棒は、「勝手にしろ!」と言うと、ナイフを振り上げる(2枚目の写真)。その瞬間、列車に引っ張られたロープは、泥棒を排水溝まで引っ張り上げる(3枚目の写真、だから、彼がいるのは、鉄道橋の裏側)。列車の進行に伴い、すぐにロープは切れ、今度は落下。川の中の木の板の上に3度目の墜落(4枚目の写真)。とどめを刺したのは、その直後に落ちて来たナイフが、お尻に刺さったこと〔デニスに悪気はない〕
  
  
  
  

翌朝、新聞が投げ込まれた時、ウィルソンはデニスのことが心配で、ベッドではなく、ベランダで寝ていた。そして、おもむろに新聞を取りに行き、一旦は玄関に入るが、気になってもう一度外に出ると(1枚目の写真)、いつもの “空き缶がガラガラと転がる音” が聞こえてくる。デニスの自転車だ。ウィルソンは、「マーサ!」と奥さんを呼び、庭に出て行く。すると、デニスの顔が見えたので、満面の笑顔で迎える。デニスは、「ウィルソンさん!」と手を振り、ウィルソンも手を上げて応える。デニスのレッドワゴンには、泥棒が乗せられている。ウィルソンの家の前で自転車を停めたデニスは、両手を差し出して “おいで” と言っているウィルソンを見て(2枚目の写真)、走っていって飛びつく(3枚目の写真)。そして、「当ててみて」と言う。「何だい?」。「金貨、取り戻したよ」。これで、ウィルソンは、もう一度デニスを抱きしめる。そのあと、デニスは、家から出てきた両親に抱き締められる。
  
  
  

パトカーが到着し、先日の警官が姿を見せると、レッドワゴンの泥棒は、「助けて」と頼む。そのあと、近所の子供達がいっぱい集まって来て、デニスがヒーロー扱いされる。泥棒をパトカーに連行する途中で、警官は、「ムショに入ったら、我らがデニス・ミッチェルに会ったと言えるな」と、冗談を飛ばす(2枚目の写真)。そこに、デニスが近づいてきて、「おじさん」と声をかけ、泥棒は、手錠の付いた両手で顔を守るように隠す。「これ、忘れたよ」。デニスは、泥棒の飛び出しナイフを渡す(2枚目の写真、矢印)。泥棒は、ナイフを受け取ると、すぐ、ナイフを飛び出させ、デニスを刺そうとするが、警官がドアを閉めたため(3枚目の写真、矢印はナイフ)、手を挟まれてケガをし、ナイフは側溝に落ちる。
  
  
  

その日の夜、デニスの両親は、ウィルソンの家の玄関先で食後の会話をしている。その中で、デニスの母は、もう出張することはなくなったと告げた後、「会社に託児所ができたので、デニスを連れて行けます」と話す。すると、ウィルソンが、「そんなのバカげとる。そんな所で、デニスは 1日中何ができる? わしらは隣同士だ。面倒は見る」と断言する。デニスが好きな奥さんも大賛成するが、両親は、「これまで、どれほど ご迷惑をかけたことか」と、非常に否定的。デニスは、ウィルソンの屋外用の炭火コンロで、マシュマロを焼いている(1枚目の写真)。マシュマロが燃え始めたので消そうと振っているうちに、串から抜けて真っ直ぐウィルソンの方に飛んで行き、額に張り付く(2枚目の写真)。映画は、このシーンで終わる。その直後のエンドクレジットで、デニスは会社のコピー室に、つまらなそうに座っている〔マシュマロで懲りたウィルソンはデニスの託児所に賛成した?〕。そこに入って来た意地悪な女性正社員が、「他の子たちと一緒に、託児所にいるはずじゃなかった?」と訊く。デニスは、「そこにいたんだけど、出なくちゃいけなくなった。子供たちを見ていた女の人が、あと5秒ぼくの面倒をみるくらいなら、窓から飛び降りるって言ったから。すごくいい人だったから、そうして欲しくなかったの」と説明する。意地悪な女性正社員は、そんな話など聞いていない。そこで、デニスは、「ボタン、押していい?」と訊く。意地悪な女性正社員は、「ダメよ。どのボタンか知らないでしょ」と、バカにしたように言う。デニスは、コピー機の「PRINT」のボタンを見て、「これだ!」と言って押す。すると、どういう構造かは分からないが、女性のスカーフが吸い込まれ、顔がガラスの原稿台に押し付けられる。そして、顔を複写すべく、ライトが何回も往復し、その度に女性は悲鳴を上げる(3枚目の写真)。「どうするか、覚えてらっしゃい!」。その言葉で、デニスは一目散に逃げていく。
  
  
  

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